なぜ繁盛店の経営者は、営業中に自分の施設の風呂に入るのか

なぜ繁盛店の経営者は、営業中に自分の施設の風呂に入るのか─経営者が入るかどうかで、店の未来は決まる ─

経営者が入るかどうかで、店の未来は決まる

結論から言う。
繁盛する温浴施設の経営者は、例外なく“自分が経営する施設の風呂に入っている”

しかも、それは営業中である。これは単なる習慣ではない。
経営の質を分ける、極めて重要な行動だ。

なぜ「体験」が経営の質を決めるのか

理由は明確である。
顧客視点は、体験からしか生まれない。

自分の施設を利用しない経営者は、どうしても判断が外れていく。
数字やデータに頼り、一部のクレームに引きずられ、結果として“表面の声”に反応してしまう。

その積み重ねが、顧客の支持を失う判断につながる。

一方で、日常的に自分の施設の風呂に入る経営者は違う。
同じ温度に身を置き、同じ時間を過ごし、同じ違和感に気づく。この「顧客と同じである」という事実が、改善の精度を一段引き上げる。
だから結果として、繁盛店になる。

それは「くつろぎ」ではなく、現場に入るという仕事だ

ここで誤解してはいけない。

経営者が営業中に風呂に入るのは、くつろぐためではない。
むしろ逆である。

湯船に入れば、常連客から声がかかる。
何気ない会話の中で、不満や要望が直接ぶつけられることもある。

その一言一言に、数字には表れない本音が混じっている。

つまり、
最もリアルな顧客の声が集まる場所に、自ら身を置いているということだ。

気を抜く時間ではない。
むしろ、神経を使う時間である。

それでも入る理由はひとつ。

顧客目線を“肌で感じる”ためだ。

ここに、繁盛する経営者とそうでない経営者の差がある。

炭酸泉導入で露呈する「経営の差」

この違いは、新たに炭酸泉を導入したときに顕著に現れる。

炭酸泉は、ぬるめの温度で運用することで本来の効果が発揮される。
炭酸の溶解度が高まり、身体の温まり方が変わるからだ。

しかし導入直後、必ず不満が出る。

「ぬるすぎて温まらない」
「入った気がしない」
「もっとシュワシュワさせてほしい」

ここで多くの経営者は迷う。
そして温度を上げたり、炭酸量を増やしたりと、目の前の声に応えようとする。
一見、正しい対応に見える。
だが、それは本質から外れている。

成功する経営者は、まず自分が体験する

うまくいく施設は、まったく逆の行動をとる。

経営者自身が、自分の施設の炭酸泉に入り続ける。
顧客と同じ時間帯に、同じ環境で、同じ条件で。

そこで初めて気づく。

じわじわと身体が温まる感覚。
自然に出てくる発汗。
入浴後の軽さ。

その体験を通して、

「この温度でなければ意味がない」
「泡ではなく、溶けている炭酸こそが価
値だ」

と腹落ちする。

経営は「信念」で決まる

実際にあった話である。

炭酸泉を導入したものの、客数が伸びず、クレームに押されて迷っていた経営者がいた。
そこで私は、その人を炭酸泉で成功している施設に連れ出した。

そして、あえて多くの利用者が静かに浸かっている湯船に入り、
10分の入浴を3セット、体験してもらった。

実はその経営者、自分の施設では一度もこの入り方をしていなかった。
現場にいながら、体験していなかったのである。

だからこそ、環境を変え、“お客として”炭酸泉に入ってもらった。

結果は明確だった。

体験後、判断が変わった。
温度は下げたまま維持し、正しい情報を丁寧に伝える方向に舵を切った。

その結果、既存客を失うことなく新規客が増え、客数は1.5倍になった。

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顧客は、やがて変わる

最初に不満を口にしていた顧客も、時間とともに変わる。

たとえば、サウナが好きで炭酸泉を避けていた人が、
医師の指導でサウナを控え、仕方なく炭酸泉に入るようになる。

すると、想像以上の発汗や身体の軽さに気づく。
継続することで体調が整い、やがて炭酸泉を選ぶ側に変わる。

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業種が違っても、本質は変わらない

この話は温浴業界に限らない。

飲食店でも同じである。
繁盛店をつくるオーナーほど、自分の店で、自分の財布からお金を払い食事をしている。

その料理に、その価格を払う価値があるのか。
それを自分自身で確かめているからだ。

自分で食べない料理を提供する。
原価や利益率だけで商品を決める。

それでは顧客の支持は得られない。

温浴も同じである。

信じていないものは売れない

結論はシンプルだ。
信じていないものは、売れない。
そして、信じるためには体験するしかない。

経営者は、自分の施設の風呂に入れ

設備を導入することが経営ではない。

その価値を理解し、自ら体験し、顧客と同じ目線で感じる。
そこからすべてが始まる。

だからこそ言いたい。

経営者は、営業中に自分の施設の風呂に入れ。

そこにしか、答えはない。

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