「水か、炭酸水か」――日本人の炭酸水への意識が変わってきた

水への意識が変わってきた
最近、テレビで少し気になるCMを見かけました。
最初は、何のCMなのかわかりませんでした。商品を詳しく説明するものではなく、どちらかといえばイメージ広告に近い印象です。
その中で耳に残ったのが、
「さよなら、炭酸水。」
というナレーションでした。
炭酸水のCMなのだろうか。
気になって調べてみると、ドリンクメイトが2026年4月に発売した「drinkcube(ドリンクキューブ)」という商品でした。
浄水型のウォーターサーバーで、冷水や温水だけでなく、炭酸水まで作ることができます。
仕組みを知って、商品そのもの以上に気になったことがあります。
日本人にとって、炭酸水の位置づけがずいぶん変わったのではないか。
そんなことを考えました。
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※画像はdienmate HPより掲載
浄水器で「炭酸水を作る」という発想
drinkcubeは、水道水をタンクに入れ、フィルターで浄水して使用します。
浄水した水は、冷水でもお湯でもボタンひとつで利用できる。さらに必要であれば、CO₂を溶かして炭酸水にすることもできます。
いわば、炭酸水まで作れる高機能な浄水型ウォーターサーバーです。
炭酸水を作る仕組みそのものはシンプルです。興味深いのは、家庭にCO₂シリンダーを置き、ガスがなくなれば交換して使い続けることです。
かつてなら業務用設備を連想したよな仕組みが、今では家庭用品としてテレビCMで紹介されるものになった。
これは、結構大きな変化ではないでしょうか。
日本では「炭酸水=水」ではなかった
ヨーロッパを旅行すると、レストランでミネラルウォーターを注文した際に、
「ガス入りですか、ガスなしですか」
と聞かれることがあります。
炭酸の入った水と、入っていない水。どちらも「水」です。
天然の炭酸を含むミネラルウォーターを飲む文化があるヨーロッパでは、炭酸水は以前から水の選択肢のひとつとして親しまれてきました。
一方、日本では炭酸水をそのまま飲む習慣は、今ほど一般的ではありませんでした。
かつて「炭酸」と聞いて思い浮かべるのは、サイダーやコーラなどの甘い炭酸飲料。無糖の炭酸水は、お酒を割るためのものという印象が強かったのです。
2000年代後半のハイボールブームなどを背景に、炭酸水は家庭でも身近な存在になっていきました。
そして、大きな転換点となったのが2011年です。
アサヒ飲料の「ウィルキンソン」が500mlペットボトルを発売し、割り材ではなく、炭酸水をそのまま飲む「直接飲用」を提案しました。
販売数量を見ると、その変化の大きさがわかります。
2008年には174万箱だった販売数量が、2011年には476万箱、2017年には1,990万箱まで増加しました。わずか9年間で約11倍です。
「お酒を割るための炭酸水」から、「炭酸水そのものを飲む」へ。
日本人の炭酸水に対する意識が、大きく変わっていった時期といえます。
なぜ炭酸水をそのまま飲むようになったのか
背景のひとつに健康志向があります。
コーラやサイダーなどの甘い炭酸飲料とは違い、無糖炭酸水は基本的に糖類もカロリーもありません。
「炭酸の刺激が欲しい。でも甘い飲み物はいらない」
そんな需要に、無糖炭酸水がうまく当てはまりました。
もうひとつは、「水では少し物足りない。でもジュースほどの味はいらない」というニーズです。
炭酸による爽快感がありながら、食事にも合わせやすい。さらに炭酸水には、爽快感だけでなく、水分補給としての「止渇性」も求められるようになっています。
商品も変化しました。
強炭酸、レモンなどのフレーバー、大容量ボトルなど選択肢が増え、炭酸水は「お酒の横に置いてある割り材」から、ミネラルウォーターやお茶と同じように選ばれる日常の飲み物へと変わっていきました。
そして「買う」から「作る」へ
ここでもう一度、drinkcubeに戻ります。
家庭用の炭酸水メーカー自体は、以前から存在しています。
今回興味深く感じたのは、浄水、冷水、温水と並んで、「炭酸水」が一台のウォーターサーバーに組み込まれたことです。
炭酸水が特別な飲み物ではなく、家庭で選ぶ「水」のひとつになったことを象徴しているようにも見えます。
さらに、「炭酸水を買ってくる」から「必要なときに家庭で作る」へ。
そのためにCO₂シリンダーを家庭に置くことも、珍しいことではなくなりつつあります。
この変化を見ていると、炭酸泉ラボとして思い浮かべるものがあります。
もちろん、お風呂です。
お風呂の「炭酸」は、今どこにいるのか
日本には昔から天然の炭酸泉があります。
ただし、天然で高濃度の炭酸ガスを含む温泉は限られています。
そこで、炭酸ガスを人工的にお湯へ溶かす高濃度人工炭酸泉が登場しました。
今ではスーパー銭湯や温浴施設で「炭酸泉」という名前を見かけることも珍しくありません。
炭酸泉は、
「限られた温泉地で入るもの」から、「身近な温浴施設で入るもの」へ。
少しずつ私たちの日常に近づいてきました。
では、家庭ではどうでしょう。
家庭で「炭酸のお風呂」と聞けば、炭酸系の入浴剤を思い浮かべる人が圧倒的でしょう。
ここにも、かつての炭酸水と似たところがあります。
入浴剤が「ジュース」なら、高濃度炭酸泉は「炭酸水」
少し大胆なたとえをしてみます。
家庭で楽しむ炭酸浴を飲み物に置き換えるなら、炭酸系入浴剤は「炭酸ジュース」に近いのかもしれません。
炭酸だけでなく、色や香りなども含めて楽しむ。
一方、CO₂ガスそのものをお湯に溶かして作る高濃度炭酸泉は、シンプルな「炭酸水」に近い。
もちろん、これは両者の違いをイメージするためのたとえです。
「今日は家で、炭酸泉にしようか」
今回、drinkcubeのCMを見て興味を持ったのは、新しい炭酸水メーカーが登場したことだけではありません。
かつては「お酒を割るもの」だった炭酸水が、そのまま飲むものになりました。
そして、CO₂シリンダーを家庭に置き、水に炭酸ガスを溶かして使うことまで、少しずつ日常になろうとしています。
この変化をお風呂に重ねてみると、少し面白い未来が見えてきます。
天然の炭酸泉を温泉地で楽しむ。
高濃度人工炭酸泉をスーパー銭湯で楽しむ。
そして、その次にあるのが、家庭で楽しむ高濃度炭酸泉なのかもしれません。
まだまだ認知は広くはありませんが。
実は、そのための装置はすでに開発されています、
drinkcubeに近い仕組みで、使いやすい「ワンパス方

炭酸水が「特別な飲み物」から「水の選択肢」になったように、炭酸泉も「特別なお風呂」ではなく、家庭で選べる入浴のひとつになっていく。
「今日は家で、炭酸泉にしようか」
そんな言葉が普通に交わされるようになれば、炭酸泉はもっと身近なものになるはずです。
その役割の一端を当サイトが担いたい。
「こんにちは!高濃度炭酸泉!」そんなCMが流れる市場にしたいですね。
drinkcubeのCMを見ながら、そんな未来を少し期待したくなりました。

