脊柱管狭窄症と向き合う毎日に、あんまと炭酸泉という選択

学校で出会った一人の患者さんから、あらためて感じたこと
私は現在、視覚支援学校で鍼灸師とあんま・マッサージ指圧師の国家資格取得を目指して勉強しています。
これまで25年以上、温浴業界で炭酸泉に関わってきました。しかし学校では、その経験はいったん横に置き、一人の学生として学んでいます。
授業では、施術の技術だけではありません。解剖学や生理学を学び、人の体がどのような仕組みで動いているのかを理解します。さらに、さまざまな病気について、その原因や症状、施術を行う際に注意すべき点も学んでいます。
覚えることが多くて、思った以上に大変です。しかし、座学で学んだ知識が少しずつ実践での「鍼灸やあんま」に結び付いていく面白さを日々感じています。
実習で担当した、一人の患者さん
脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)
先日、あんま実習で60代の女性を担当する機会がありました。
施術の前には、必ず問診を行います。
現在どのような症状があるのか。1
病院には通院しているのか。
医師からどのような診断を受けているのか。
その女性は、「脊柱管狭窄症」と診断され、現在は保存療法で経過を見ていると話してくださいました。
腰から太ももにかけてしびれがあり、長く歩くことがつらいそうです。
保存療法の一環として、血流を良くする目的で、学校で行う施術を受けに来られたのです;。
そこで私は、ほかに何か日常生活で気を付けていることはありますか、と尋ねました。
返ってきた答えに、私の心は反応しました。
「週に3回は近所のスーパー銭湯へ行って、炭酸泉に入っています。」
しかも、そのきっかけは医師との何気ない会話だったそうです。
「炭酸泉もいいですよ」と勧められ、それ以来、生活の習慣になったと話してくださいました。
思わぬ場所で、炭酸泉の話を聞いた
学校では、私が「炭酸泉ラボ」を運営していることは話していません。
もちろん、患者さんも知りません。
私は一人の学生として問診を行い、一人の患者さんとして施術を担当しただけです。
だからこそ、その患者さんの口から自然に炭酸泉の話が出てきたことが、とても印象に残りました。
温浴業界で長年伝えてきた炭酸泉が、医療の現場でも、そして患者さんの日常生活の中でも、当たり前のように活用されている。
そんな場面に偶然立ち会えたことが、とてもうれしく感じられたのです。
脊柱管狭窄症とは、どんな病気なのか
「脊柱管狭窄症」という名前を聞くと、とても難しい病気のように感じるかもしれません。
しかし、仕組みは意外とシンプルです。
背骨の中には、神経が通るトンネルがあります。
年齢を重ねるにつれて、骨や靱帯が厚くなったり、椎間板が変形したりすると、そのトンネルが少しずつ狭くなることがあります。
その結果、神経が圧迫され、
- 腰の痛み
- お尻から足にかけてのしびれ
- 足に力が入りにくい
- 長く歩けない
といった症状が現れます。
特に特徴的なのが、「少し歩くと足がしびれたり痛くなったりするものの、少し休むとまた歩ける」という症状です。
これは、脊柱管狭窄症を代表する特徴として知られています。
保存療法とは、「何もしない」ことではない
患者さんがおっしゃっていた「保存療法」という言葉も、少し分かりにくいかもしれません。
保存療法とは、手術をせずに症状とうまく付き合っていく治療です。
例えば、
- 薬で痛みを和らげる
- リハビリを行う
- 運動療法を取り入れる
- あんまやマッサージで筋肉の緊張を和らげる
- 日常生活を工夫する
こうした方法を組み合わせながら、症状の悪化を防ぎ、生活の質を維持することを目指します。
もちろん、症状が重い場合には手術が必要になることもあります。
しかし、多くの方は、まず保存療法から始めます。
あんまが果たせる役割
脊柱管狭窄症では、神経そのものをあんまで治すことはできません。
しかし、神経をかばうことで周囲の筋肉が硬くなり、血流が悪くなっていることは少なくありません。
あんまには、
- 筋肉の緊張を和らげること
- 血流を促すこと
- 体を動かしやすくすること
といった役割が期待できます。
結果として、痛みや重だるさが軽くなり、日常生活を送りやすくなる方もいます。
もちろん、症状によっては施術(あんま)を避けるべきケースもあります。
だからこそ、あんま・マッサージ指圧師は病気を学び、問診を重視し、安全を最優先に施術を行います。
炭酸泉が期待される理由
炭酸泉も、脊柱管狭窄症そのものを治すものではありません。
しかし、高濃度炭酸泉では、皮膚から吸収された二酸化炭素の働きによって血管が広がり、血流が促されることが知られています。
その結果、
- 体が温まりやすい
- 筋肉がほぐれやすい
- 入浴後も温かさが続きやすい
と感じる方が少なくありません。
実際に、今回出会った患者さんも、週3回の炭酸泉入浴を生活の一部として続けていました。
医師から勧められたことがきっかけだったという話は、私にとっても非常に印象的でした。
「治す」だけではなく、「暮らしを支える」
学校で学び始めて感じるのは、医療には「治す」だけではなく、「その人らしい生活を支える」という大切な役割があることです。
あんまも、炭酸泉も、脊柱管狭窄症そのものを治す治療ではありません。
しかし、筋肉の緊張を和らげ、血流を促し、少しでも動きやすい体を保つことは、毎日の暮らしを支える大切な力になります。
今回の実習で出会った患者さんとの会話は、温浴業界で積み重ねてきた経験と、学校で学んでいる医学が一つにつながったような出来事でした。
もし脊柱管狭窄症で悩み、「歩くのがつらい」「何かできることはないだろうか」と感じている方がいるなら、主治医と相談しながら、あんまや炭酸泉も日常生活を支える選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。
症状と上手に付き合いながら、自分らしく歩き続けるために。
そんな毎日を支える積み重ねが、きっと明日につながっていくはずです。
炭酸泉はどこで入れるの?
高濃度人工炭酸泉を提供している温浴施設一覧はこちらです。
