炭酸泉はどこで普及しているのか?

炭酸泉はどこで普及しているのか?― 全国2800施設が示す“都市集中と地域格差”の真実 ―

― 全国2800施設が示す“都市集中と地域格差”の真実 ―

1・全国のスーパー銭湯はどのくらいあるのか

6年ぶりに、全国で高濃度人工炭酸泉が利用できる施設の調査をしました。
そこで、スーパー銭湯、日帰り温泉、(比較的規模の大きな)銭湯の全国施設を網羅した「スーパー銭湯.com」「ニフティ温泉」「サウナイキタイ」などから、日帰り湯として利用できる約2,800施設を対象として調査しました。

スーパー銭湯数(施設数)

温浴施設の数は人口の多い都市圏に集中しており、地方では施設数が少ないという、人口構造に強く影響された分布になっています。
一方、施設数の少ない県は四国と山陰という結果で、西日本に集中しています。

2・人口に対してスーパー銭湯はどのくらいあるのか

施設数だけでは地域の温浴文化は見えてきません。
そこで、人口10万人あたりの施設数を計算しました。

10万人あたり施設数

人口比で見ると、北陸など温泉県では温浴施設が多いことがわかります。
一方で、都市圏では人口に対して施設数が少ないという特徴が見えてきました。

3・高濃度人工炭酸泉の導入数

炭酸泉ラボの調査による高濃度人工炭酸泉の導入施設数を整理しました。

炭酸泉導入数

炭酸泉導入数は愛知県が強く、スーパー銭湯が多い都市圏に集中しています。
地方ではまだ導入が少なく、これらの地域では高濃度人工炭酸泉を身近で体験することができない状態です。

4・高濃度人工炭酸泉の普及率

各県の温浴施設数に対する炭酸泉導入率を計算しました。

炭酸泉普及率

炭酸泉の普及率は都市型スーパー銭湯文化の地域で高く、特筆すべきは富山県の健闘が目立つ点です。
普及率の低い県は、県内に体験施設のない佐賀県・宮崎県を除いて算出しており、東日本では山形県が含まれています。

5・地域別に見た炭酸泉の普及構造

地域別炭酸泉導入率

地域別炭酸泉導入率のこれまでの分析は都道府県単位での比較でしたが、ここでは地域ごとに集約し、炭酸泉の普及構造をより立体的に見ていきます。

第1グループ

まず最も普及しているのは東海地方(29.9%)です。
愛知県を中心に、全国でもトップレベルの導入率を示しています。

次に続くのが関東圏(29.4%)であり、埼玉・千葉・神奈川・東京といった都市部で炭酸泉が広く普及しています。

この2つのエリアが、現在の日本における炭酸泉普及の中心地と言えます。

第2グループ

その次に位置するのが近畿(24.2%)北陸(22.7%)です。

第3グループ

さらにその下に北関東(18.3%)が位置します。

低普及エリア

それ以外の地域は、おおむね10%未満にとどまっています。

6.全国の高濃度人工炭酸泉導入状況から見える課題

結論

炭酸泉は全国に広がっているようで、実際には
「体験できる地域」と「できない地域」に明確に分断されている。
これが今回の調査で最も重要な発見です。

理由

炭酸泉は自然に湧く温泉ではなく、設備投資によって導入される人工設備です。
そのため導入は

・集客競争の激しい都市部
・投資余力のある大型施設

に集中します。つまり炭酸泉は、
温泉文化ではなく「競争環境」によって普及してきた設備
と言えます。

具体例

実際の分布を見ると、その偏りは明確です。

・愛知・埼玉・東京・大阪
都市型スーパー銭湯が多い地域で導入が集中

一方で

・佐賀・宮崎:導入0件
・山陰・四国・東北の一部:1〜数件

つまり、
県内で炭酸泉を一度も体験できない地域が存在する。これは単なる普及の遅れではなく、
入浴体験・健康機会の地域格差です。

もう一つの重要な視点

今回の分析でもう一つ明確になったのは

炭酸泉は温泉地ほど普及していないという事実です。

・既存の泉質に価値がある
・新規設備投資の優先度が低い
このため「温泉地=炭酸泉がある」とは限らない構造が生まれています。

今後の課題

この分布から見える課題は3つです。

① 体験格差の解消
→ 未導入地域への普及

② 地方向け導入モデルの確立
→ 小規模施設でも導入可能な仕組み

③ 温泉との融合
→ 対立ではなく「炭酸泉×温泉」という新価値

最終結論

炭酸泉はこれまで
都市型施設の競争装置として発展してきた。

しかしこれからは
「全国で誰もが体験できる入浴文化」へ広げる段階にある。

炭酸泉ラボの役割は明確です。
この地域格差を可視化し、導入の可能性を示すことで、
炭酸泉の価値を“都市の設備”から“日本の文化”へ引き上げること。
それが、次の使命です。