炭酸泉に浸かるとなぜ肌がピンク色になるのか?

炭酸泉に浸かるとなぜ肌がピンク色になるのか?

炭酸泉に浸かるとなぜ肌がピンク色になるのか?

高濃度人工炭酸泉を利用し多くの人が、おふろ上がりに肌があざやかなピンク色に染まる不思議な体験をしています。

内側からライトアップされたかのようなあざやかさで、熱いお湯や長湯をしたときのような、肌がトーンの低い黒みのある赤とは明らかに違うのです。

酸素と血液の色の関係

血液の色が変わる理由

血液の色は、酸素の量によって変わります。血液が赤く見えるのは、赤血球に含まれる「ヘモグロビン」というたんぱく質が関係しています。

ヘモグロビンは鉄分を含んだ赤色。酸素と結びつくと明るく鮮やかな赤色になる。これを「酸素化ヘモグロビン」と呼びます。肺で酸素を受け取った血液は心臓に戻り、そこから全身に酸素を届けるのです。

一方、酸素を届け終えた血液は酸素が少なくなり、暗い赤色になる。これは「脱酸素化ヘモグロビン」と呼ばれ、見た目は黒っぽい赤ワインのような色になります。

赤血球は血液の中でもっとも多く、血液全体の40〜45%を占めているため血液は赤く見えるのです。この割合は「ヘマトクリット値」といい、貧血や脱水症などの健康状態を判断する医学的にも大切な指標になります。

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血液の流れを覚えていますか?

中学生の頃の理科や高校生の頃の生物で学んだ記憶があると思いますが、ここで血液の流れと役割を少しおさらいしておきましょう。

血液の循環

血液の循環は、大きく分けて体循環肺循環に分かれます。心臓を起点に肺をめぐる循環では血液(ヘモグロビン)が肺で酸素を受け取り、酸素を受け取った血液(ヘモグロビン)が心臓に戻る、これが肺循環です。

心臓に戻った血液は、受け取った酸素を体中の細胞に配る旅に出かけ、体内を巡ります。こちらが体循環です。

血液の旅は、血管という道を流れて進みますが、その道筋は

左心室(心臓)大動脈中小動脈細動脈毛細血管細静脈大静脈右心房(心臓)を辿ります。

多くの場合、動脈と静脈は対になって体内を走っています。まるで高速道路の上下線のように、「行き」と「帰り」が並んでいるイメージです。

特に手足や内臓の周囲では、動脈が酸素を届けたすぐ隣を、静脈が二酸化炭素や老廃物を回収して戻っています。これらの血管は体内の深部を走ります。

ところが、毛細血管から細静脈に戻る過程で、本ルートである深部静脈から脇道に逸れて体表近くの静脈を迂回するルートが多数あるのです。この静脈を表在象脈(ひょうざいじょうみゃく)と言います。

表在静脈は、体温の調整を行うことが主な理由で、体温が上がったときに血流を増やし体温を下げる役割を担うのです。

また、血液貯蔵機能でもあり、体全体の血流量の調整もしている。体表近くを流れる表在血管は、やがて深部の静脈と合流して、大静脈に流れ心臓に戻っていきます。

静脈血管はなぜ青い?

なんども言いますが、体動脈を流れる血液は、酸素がたっぷりなので、明るく赤い色をしています。
対して静脈を流れる血は、毛細血管を通じて各組織に酸素を配り、酸素が抜けて暗い赤色です。

血液検査で採取する血の色を思い出してください、赤黒い色をしているはず!
これは静脈から採取した血液だからです。

ところで、体表に見える表在静脈は青い色をしていますよね、前腕や、ふくらはぎに浮かんでいる血管は赤でなくて、青色です。青筋立てて起こるおじさんの血管も青いですよね・・・+

考えてみれば不思議だと思いませんか?

これは光の反射による錯覚です、色は光の反射によって識別できますが、赤い光は吸収されやすく、青い光は表面で反射しやすい性質を持っています。

海の色が青く見える原理とおなじで、表在血管を流れる血の赤色を識別する光線は吸収され、青色光線だけが表面に映し出されているから起こる現象です。

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高濃度人工炭酸泉が体をピンク色に変える理由

ここでもう一つの疑問です。
上記の説明(血管は光の影響を受けて青く見える)からすると体中に毛細血管が巡っている我々の肌はどうして青色ではないのでしょうか?

激しい運動や、熱いお風呂に浸かると肌が熱って赤色に変わります。青くはなりません。
これは血液の量が増えて、毛細血管への血量も増えるからです。毛細血管は肌に近い部分に無数に走っているため表在静脈のように光の影響を受けず、血量が増えれば素直に肌の色が赤色に変わるのです。

炭酸効果で動脈も静脈も酸素たっぷり

もう一つ炭酸泉効果の凄さを記しておきましょう。

毛細血管は「動脈と静脈のつなぎ目」にあり、流れている血液は「動脈血から静脈血に変わる途中の血液」です。
つまり、酸素をたっぷり含んだ血液も流れていますが、酸素を切り離した血液も流れています。 鮮やかな赤色の血もあれば、赤黒い色の血もあると考えられますよね!

それでも、炭酸泉に入ると鮮やかなピンク色になるのは、炭酸泉効果で血中の酸素量が通常よりも多く、使いきれない酸素がそのまま静脈血に混じっているからです。

つまり、静脈血まで普段よりも鮮やかな色をしている訳です。

肌がピンクになる理由のまとめ✨

結局のところ、

炭酸泉の二酸化炭素が毛細血管を拡張

     ↓

血流が爆発的に増える

     ↓

酸素供給が大量に行われる

     ↓

流れた後の静脈にも酸素がたっぷりある

     ↓

肌表面の毛細血管含む血管すべてが明るめのピンクで光る

という理由で、「ぬるめの炭酸泉なのに肌がピンクになる」という不思議が科学的に説明できるのです。

血液循環の仕組みと健康効果

この現象は、健康メリットを多くもたらします。

  • 酸素と栄養の配達員:細胞にエネルギーと栄養を届け、活性化
  • 老廃物の回収:不要物の処理が進み、肌のターンオーバーが促される
  • 新陳代謝アップ:冷え性改善、疲労回復、集中力・記憶力の向上など
  • 免疫力サポート:血流に乗って免疫物質が巡りやすく、免疫力が向上する

まとめ

炭酸泉で肌がピンク色に見えるのは、見た目だけの変化ではありません。それは「毛細血管が広がって酸素と栄養が豊かに巡り、静脈までも輝きを帯びている」という証拠です。あなたのからだの中では、毎秒ごとにめぐりと代謝が活性化し、活力と若さを支えているのです。

是非、お近くの銭湯・スーパー銭湯で高濃度人工炭酸泉を体験してみてください

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