美人の湯vs高濃度人工炭酸泉

美人の湯vs高濃度人工炭酸泉_美容効果と高濃度人工炭酸泉

“美人の湯”が合わないあなたにおすすめの入浴法

「お肌にいい温泉」として有名な“美人の湯”に入ってみたところ、入浴後しばらくして肌がガサついたり、かゆくなったりした経験はありませんか?

実はこうしたトラブルは、敏感肌の人にとっては珍しいことではありません。

肌によいはずの天然温泉が、楽しみにしていた温泉が、自分には合わない矛盾にモヤモヤしたことのあるかたは意外と多いのです。

今回ご紹介するのは、そんな肌の悩みを抱える人こそ知っておきたい「弱酸性の高濃度人工炭酸泉」です。

高濃度人工炭酸泉!
その響きは、ちょっと科学的で遠い存在に感じるかもしれませんね!
でも、都市部のスーパー銭湯や温浴施設などでも気軽に体験できるようになっています。
この人工泉は“肌にやさしい”という視点でも注目すべき存在なのです。

今回はその秘密にせまってみましょう。

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弱酸性ってなに?肌とお湯の相性をやさしく解説

有名な液体せっけんのコマーシャルで、「弱酸性」がお肌にやさしいという認識が広まりました。ここで改めて、その理由を見てみましょう。

人間の肌は pH(酸性・アルカリ性の指標)でいうと「弱酸性」です。常に pH4.5〜6.0 の範囲に保たれています。

これは、肌の表面にある「皮脂膜」が持つ自然なバリア機能がはたらいて、外部の細菌や刺激から肌を守っているからです。

ところが、せっけんやボディーソープにはアルカリ性のものが多くあります。なぜなら、アルカリ性のほうがたんぱく質や油分を分解して、よごれを落とす力がつよいからです。
そして、アルカリ性の入浴剤や温泉に入ると、肌表面がとかされ、すべすべになったように感じます!

アルカリ性のお湯も、洗浄力が高く、湯の中ではぬるぬるし、湯上がりにはすべすべした肌になるから。これが美人の湯の由来です。

肌が特に弱い人でなければ、問題なく、湯上がりにローションでもぬっておけば良いでしょう。
しかし、肌の弱い人は皮脂膜がこわれて、本来のうるおいを失いやすくなります。
その結果、乾燥・かゆみ・赤みなどのトラブルが起こることになりやすい! 敏感肌の人は、この pH バランスの乱れにとても繊細なのです。

日々スキンケアをがんばっていても、「お湯そのもの」が合っていないと感じることも少なくありません。

だからこそ、肌と同じ pH に近い「弱酸性」のお湯──つまり炭酸泉は、敏感な肌を持つ人にとって大きな味方になるのです。

肌にやさしい理由とは?高濃度人工炭酸泉のメリット

炭酸泉は弱酸性です。その秘密は、微細な炭酸ガス(二酸化炭素)が溶け込んだお湯にあります。

炭酸ガスが水(お湯)にとけこむと、炭酸水や炭酸泉は弱酸性となります。つまり、肌が保っている pH と同じで、アルカリ性のお湯のように必要以上の皮脂が取り除かれる心配がありません。

また、角質層に水分を届けやすくなることで、保湿力の向上も期待できます。
乾燥肌の人にとっては、これは大きなメリットです。

「つっぱらない」「かゆくならない」「しっとりする」という声が多く聞かれるのは、この効果によるものです。

ぬるめのお湯の効能!ヒスタミンと温度の関係

敏感肌の人が熱いお湯(42℃以上)に入ると、皮脂膜が失われ、乾燥しやすくなります。
ヒスタミンというかゆみ物質が放出されて、かゆみや赤みの原因になるからです。

さらに、あついお湯で緊張状態によって自律神経が刺激されると、炎症が起こりやすくなり、肌トラブルを悪化させるおそれがあります。

このため、敏感肌の人はぬるめ(37〜39℃)のお湯に短時間つかること、入浴後すぐに保湿することがすすめられているのです。

高濃度人工炭酸泉は「低温でもしっかり温まる」のが特長で、36〜38度程度のぬるめ設
定でも、血管が広がり、血流がよくなることで体が芯からあたたまります。

熱いお湯が苦手な敏感肌の人でも、快適に入浴できるのです。

塩素殺菌と肌刺激の関係

公衆浴場では、衛生管理のために「塩素消毒」が義務づけられており、これは安全性の面から必要不可欠です。ですが、肌への影響を考えると好ましいものではありません。

塩素は細菌を殺菌する力がありますが、とくにアルカリ性にかたよったお湯だと、肌のバリア機能が弱まり、外部刺激がより敏感になります。敏感肌の人にとっては、これが「ピリピリする」原因になることもあるのです。

高濃度人工炭酸泉も塩素殺菌は行なっています。殺菌力は酸性のお湯のほうが強くなります。そのため、塩素の使用量は炭酸泉とそれ以外では大きく異なるのです。少量でも効果があるため、アルカリ性のお湯ほど塩素量は必要としません。

とはいえ、法定基準の塩素量は使用されているため、敏感肌の方は注意が必要です。

炭酸泉はつい長湯しがちですが、敏感肌の人の長湯はほどほどにしておきましょう。

身近な施設で試してみよう

ここまで読んで「ちょっと試してみたい」と思ったかたは、ぜひ近くのスーパー銭湯や日帰り温泉施設で「高濃度炭酸泉」の表示を探してみてください。

最近では都市部を中心に導入が進み、一般の入浴料金内で楽しめるところも増えています。

高濃度人工炭酸泉の導入店舗は本サイトでも掲載しておりますので参考にしてみてください。

はじめてのかたには、10分程度の入浴がおすすめです。
ぬるめのお湯にゆっくりつかることで、肌や体への負担をおさえながら効果を実感できます。

入浴後はなるべく肌をこすらず、やさしくタオルで水分をふき取り、保湿を忘れずに行いましょう。炭酸泉でひらいた毛穴がスキンケアの成分を吸収しやすくしてくれるため、保湿の効果が高まりやすくなります。

まとめ

「肌にいい温泉」と聞いて、天然温泉や硫黄泉、炭酸水素塩泉を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし実際には、成分が肌に合わない場合もあります。

大切なのは成分以上に、「温度」「pH」「やさしさ」です。
弱酸性・低温・塩素抑制──これらをそなえた高濃度人工炭酸泉は、敏感肌に悩む人の新しい選択肢となるでしょう。

温泉旅行に出かけなくても、近くの施設でその良さを体験できる時代です。
まずは気軽に試してみてください。

あなたの肌と心が、もっと健やかに、やさしくととのっていく一歩になるかもしれません。

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