全国の高濃度人工炭酸泉を再調査

―6年で100施設増加、見えてきた炭酸泉の地域格差―
日本の温浴施設で、いま最も人気のある設備が「炭酸泉」です。
ぬるめのお湯に浸かると、肌に細かな泡がまとわりつき、血流が良くなる感覚が広がる。その独特の入浴体験から、多くの施設で「看板風呂」として導入が進んでいます。
では、日本全国では実際にどの程度まで広がっているのでしょうか。
炭酸泉専門サイト「炭酸泉ラボ」ではこのたび、日本全国の高濃度人工炭酸泉を設置している温浴施設を改めて調査し、最新の施設一覧として公開しました。
今回の調査は、約6年前に実施した全国調査をベースにしたもの。当時整理した炭酸泉設置施設の情報をもとに、廃業した施設や誤った情報を削除し、新たに導入された施設を追加しました。その結果、炭酸泉文化が確実に広がっていることが確認できました。
一方で、地域によって体験機会に大きな差があるという現実も浮かび上がりました。

炭酸泉ラボが定義する「高濃度人工炭酸泉」
まず確認しておきたいのは、「炭酸泉」という言葉の意味です。
現在この言葉は広く使われていますが、その内容は必ずしも同じではありません。
例えば
・天然炭酸温泉
・炭酸水素塩泉(重曹泉)
・低濃度炭酸風呂
なども、炭酸泉と呼ばれる場合があります。
しかし炭酸泉ラボでは、これらを混同せず
人工的に炭酸ガスを溶解させた「高濃度人工炭酸泉」
のみを対象としています。
その目安となる濃度は
1000ppm以上
です。
この濃度は温浴施設業界で「高濃度炭酸泉」として広く認識されている基準。血流促進などの体感が比較的はっきりと現れるレベルとされています。
そのため今回の施設一覧には
・天然炭酸温泉
・低濃度炭酸風呂
などは含まれていません。読者が高濃度人工炭酸泉を体験できる施設を探しやすくすること。
これが、この一覧の目的です。
6年前の調査から100施設以上が増加
今回の再調査では、6年前の調査と比較して
100施設以上の増加
が確認されました。
炭酸泉が全国の温浴施設に広がっていることは間違いありません。
しかし調査を進めるなかで、もう一つの印象が残りました。
それは
「思ったほど急速には増えていない」
という感覚です。
炭酸泉は現在、多くの温浴施設で人気設備として知られています。そのため、もっと急速に増えているのではないかという印象を持っていました。
ところが実際には、6年間で100施設程度の増加にとどまっています。
この背景には、炭酸泉導入には一定の設備投資が必要であるという事情があります。すべての施設が簡単に導入できる設備ではありません。
炭酸泉導入の主役はスーパー銭湯
今回の調査で最も多かった施設タイプは
スーパー銭湯
でした。
炭酸泉には
・炭酸ガス供給設備
・溶解装置
・専用配管
・ガスボンベ設置スペース
などが必要になります。
つまり、一定の設備投資が求められるということ。そのため資金力と集客力を持つ大型施設ほど導入しやすい傾向があります。
特に近年目立つのが
スーパー銭湯のリニューアル時の導入
です。
既存施設の改装のタイミングで炭酸泉を導入するケースが増えています。
現在、炭酸泉は温浴施設の**「看板風呂」**とも言える存在。施設の魅力を高める設備として採用される例が多く見られます。
都市型銭湯で生まれている新しい成功モデル
今回の調査では、都市型銭湯での炭酸泉導入も印象的でした。
特に
・東京
・神奈川
・大阪
などの都市部では、小規模な銭湯でも炭酸泉を導入し成功している事例が多く見られます。
銭湯業界は長く「斜陽産業」と言われてきました。
しかし人口の多い都市部では
・明確なコンセプト
・設備の差別化
・ブランドづくり
によって、新しい銭湯文化が生まれつつあります
炭酸泉は、その中心的な設備の一つと言えるでしょう。

この考え方は、地方であっても通用します。例えば福井県の老舗銭湯も炭酸泉の導入で飛躍的に集客を伸ばした例もあるようです。

ビジネスホテルにも広がる炭酸泉
近年もう一つ増えているのが
ビジネスホテルの大浴場への炭酸泉導入
です。
宿泊施設では、出張客や観光客に向けた差別化が重要になります。戦術の一環として大浴場を設置するホテルも増加しています。
その中で炭酸泉は
・健康効果
・リラックス効果
・入浴体験の楽しさ
を兼ね備えた設備として注目されています。
ホテルの大浴場で炭酸泉を体験できる施設は、今後さらに増えていく可能性があります。
調査で見えてきた炭酸泉の地域格差
今回の全国調査で最も強く感じたのは
炭酸泉の地域格差
でした。
炭酸泉が多い地域は
関東
東海
関西
といった大都市圏と、その周辺地域に集中しています。
例えば、東京・埼玉・愛知・大阪では40施設以上もあり、その近隣の県にも20施設以上の存在が認められました。
人口が多く温浴施設同士の競争が激しい地域ほど、炭酸泉の導入が進む傾向があります。
一方で
・山陰
・九州南部
・北海道
・四国
では、炭酸泉を体験できる施設が非常に少ない地域も存在します。
佐賀県は該当する施設が見当たらず、島根・山口・香川・熊本・長崎・沖縄では僅か1施設でした。
つまり、日本全国どこでも炭酸泉を楽しめるわけではないという現実があります。
炭酸泉が支持される理由
炭酸泉がここまで普及した理由は、何より
体感できる変化
にあります。
炭酸泉に入ると
・血流がよくなる
・体が温まる
・肌に泡が付く
など、身体の変化を実感できます。
特に泡付きは、入浴の楽しさを高めるアトラクション効果もあり、
また炭酸泉は比較的ぬるめの温度で入浴できるため、長時間ゆっくり浸かることができます。
ぬる湯を好む人や女性に人気が高い理由もここにあるのです。
高濃度人工炭酸泉を体験した人は、その実感によって魅力の虜になります。そこには確かなニーズが存在します。

炭酸泉文化を全国へ
今回の調査を通して改めて感じたのは、炭酸泉の魅力がまだ全国に十分広がっているとは言えないということでした。
都市部では当たり前のように体験できる炭酸泉。しかし地域によっては体験すること自体が難しい場所もあります。
炭酸泉は単なる温浴設備ではありません。
健康的な入浴文化の一つ
と言える存在です。
この体験が全国に広がることは、日本の入浴文化にとっても大きな意味を持つでしょう。
炭酸泉ラボでは今後も高濃度人工炭酸泉の情報を整理し、発信することで炭酸泉文化の普及に貢献していく考えです。
そして読者の皆さんが、自宅の近くで高濃度人工炭酸泉を見つけ、実際に体験していただくこと。
それが、この施設一覧を公開する最大の目的です。
全国高濃度人工炭酸泉施設
※調査方法 各施設のホームページ・世説紹介サイトなどを元にして高濃度人工炭酸泉であると判断した施設を掲載しております。該当しない施設も誤って掲載している可能性もあります。訪問の際は、ご自身で再度確認をしてください。