鳴呼!憧れの「ビールスパ」

鳴呼!憧れの「ビー ルスパ」-チェコのホップまみれ体験記-

ポーランドとチェコ、2つの国を旅してきました

年末にポーランドクラクフに滞在し、大みそかからお正月はチェコプラハで過ごしてきました。どちらの都市もユネスコの文化遺産として登録された、中世のたたずまいを色濃く残す美しい街でした。

街では、あちらこちらの広場でクリスマスマーケットが開催されています。ヨーロッパの多くでは、11月の末から1月の1週目くらいまでクリスマスマーケットが定番です。世界有数の観光都市だけに、年末年始は世界中から人が集まりにぎやかでした。

日中でも氷点下。この時期の日没は早く、夕方4時を過ぎればさらに冷え込みます。しかし、どのマーケットも熱気にあふれ、誰もが寒空の下、ホットワインを片手に体を温めながらおしゃべりに興じています。

そんな中、プラハのマーケットでは意外にも生ビールを楽しんでいる人の姿も多く見かけました。

この寒さでビールはあり得んよなぁ・・・

チェコは世界一のビール大国だった

実は、チェコは世界一のビール消費国として知られており、年間の1人当たりビール消費量はおよそ140リットルを超えるそうです。

ビールといえばイメージの強いドイツでも、その量は99リットル、日本は35リットルという数字からも、チェコのビール文化の根強さがわかります。
チェコの人々にとって、ビールは単なるアルコール飲料ではなく、生活に密接に根付いた文化です。

特にピルスナー発祥の地でもあり、地ビールやクラフトビールのバリエーションも豊富で、各地に小規模なブルワリー(醸造所)が存在します。

というわけで、郷に入れば・・・
クラクフではホットワイン一筋でしたが、プラハではビール三昧の日々。うまさは噂以上で、寒さも忘れる思いで楽しみました。

酒好き、風呂好きの夢「ビールスパ」

極寒の異国で冷えたビールを飲み歩く。体内は温まっても、寒空を歩いているといくら厚着でも肌寒い!風呂好きの日本人になら温かい湯船につかりたいところです。ところが、ホテルに帰ってもシャワーしかない。ここは東欧、ぜいたくはいえませんよね。

ところがビールを愛するこの国には、ビールの湯船に浸かることのできるスパがあるのです。“ビールかけ”と“首までビールに浸かりたい”酒好きなら一度は夢見たことがあるでしょう。しかも温かいビールで体の芯からポカポカするという噂なら、炭酸泉愛好家としても行くしかありません。

ビールスパを体験してきました

チェコには幾つかのビールスパがあるようですが、その多くは日本の銭湯とは違いプライベート空間で、時間制で利用する仕組みです。

訪問したのはOriginal Beer Spa。プラハに複数展開している施設です。


事前予約が必須です

施設の利用はオンラインの予約が必須。特に観光シーズンは世界中の人が集まりますので、旅の予定が決まり次第予約をしておくと無難でしょう。
カップル向け・グループ向け・長時間コースなど複数のプランがあり、英語での予約対応もされています。予約確定後にメールでやり取りができるので安心です。

チェックイン(施設到着〜受付)

受付の流れ

店内に入るとスタッフが親切に対応してくれます。予約名を伝え、チェックイン手続きを行いましょう。予約時間の開始ちょうどに体験がスタートするため、余裕を持って到着するのがコツ。後の予約がつかえているので、遅れると体験時間が短くなる可能性が高いので注意しましょう。

ウェルカムビール

余裕をもってチェックインすれば、ロビーでビールを飲みながら待つ時間があり、これは最初の“泡体験”として期待も高まります。

体験スタート(浴槽+飲み放題)

浴槽の準備

スタッフが個室の浴室に案内してくれます。木製の浴槽に温水を注ぎ、ホップ・麦芽・酵母の成分を投入してくれました。

実際の発酵ビールそのものではありませんでしたが、ビールの原材料から香り・効果成分を体感できる仕様になっています。

ビール飲み放題

浴槽の横にはビールのタップ(クルショヴィツェなどのチェコ定番ビール)があり、無制限に飲めるサービス付き。浴槽につかりながらビールを飲むという、他では味わえない体験ができます。

熱燗を湯船に浮かべて温泉につかる!酒飲みの欲求は国境を超え、万国共通ですね。

”いざ”入浴!”

水温は38度くらいのぬるめのお湯です。高濃度人工炭酸泉と同じくらいですね。室温がしっかりと温かいですし、入浴後ジャグジーが作動してお湯がかくはんされるので心地よい温かさを感じることができました。

リラックススペース

25分後に湯船のジャグジーが止まります。湯船から上がって、入浴後はわらの敷いたベッドのある暖かいスペースで25分ほど休憩タイム。

ゴロリと横になると、干し草の香りの中でまどろみが・・・旅の疲れや酔いを落ち着けると、あっという間に時間が経過します。
残りの10分でシャワーを浴び、退館準備を行います(ちょっと忙しいです!)


「炭酸泉ラボ」から見たチェコのビールスパ

極寒のチェコで冷えた生ビール飲み放題、温かいビールに肩までつかる。これぞ究極の炭酸泉・・・

と理想はふくらみましたが、想像していた通り浴槽のお湯は炭酸ガスが含まれた「炭酸泉」ではありません。ビールの原料となるホップや、麦芽、酵母などをオリジナルブレンドして浴槽に溶かし、ジャグジーで泡立てて入浴をするという仕組みでした。

シュワシュワのホンモノの生ビールにつかる。それが本当に心地よいかどうかは別として、個人的には期待したものではありませんでした。実際に使用されるのは原料成分を溶かした温水であり、ビールそのものではなかったからです。

しかしながら、零下の外気から逃れ、ホップの香りに包まれたたっぷりのお湯に満たされた浴槽に身を委ねるという体験は悪くはありません。旅路の体験としては上々でしょう。

チェコでは、酵母やホップを使った石けんや化粧水なども多くあるようで美容効果も期待できるようです。これらの成分が溶けたお湯のリラックス効果、美容効果を感じることができました。

今回利用のコースは60分(着替え時間も含む)。二人で3,300チェココルナ、日本円にして約25,000円でした。円安の影響もありますが決してお安くはないですよね。

観光ビジネスとして ビールスパを考える

ビールスパは、チェコのビール文化・観光資源を活かしたユニークなスパ体験です。
チェコは世界でもトップクラスのビール消費国であり、さまざまな種類のホップや酵母を使ったビールが生活に根付いています。これを「温浴体験」として組み合わせたのがビールスパです。

しかし、チェコでは日本の銭湯や温泉などのように日常的に公衆浴場を利用する文化が根付いているわけではありません。ビールスパは、一部の人のリラックスのための趣向や、ビール大国の観光アトラクションとしての側面が強いようです。

日本でこそ広げたいビールスパ

日本に帰国して、旅の疲れを癒しに行きつけのスーパー銭湯で炭酸泉につかりながら、ふと考えました。あの、酵母やホップ、麦芽をブレンドした粉をこのお湯に混ぜれば、これは限りなくビール風呂。本家をしのぐビール風呂になるのではないか!そんな思いがふつふつと湧いてきます。

当サイトとしても、日本の「ビール風呂」の実現に向けて力になれないものか。これは今後の課題として考えていきたいですね。

参考文献